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2009年1月 5日 (月)

時計 ―― 詩

手を伸ばした。

その手は何もつかまずに。

カチ、コチという。
時計の音が。

だいぶ長い間。
ただ、聞こえた。

鏡を見た。

その人は。
タレントのように様良い顔でもなく。
弁護士のように気強い顔でもなく。

くたびれて。
やるせなくて。

ただ、僕を見ていた。

カチ、コチと。
時計の音が、聞こえた。

時計は、止まらなかった。

その人は言った。

夢。
希望。

テレビの中の笑い。

近いように見えた、もの。

あのこと。
このこと。

こうだったらいいな。

拍手。
賛美。

人の言葉。

幸せな家。

金。

世界。

手と手と。

夢で見た、いつかの。
目を輝かせたラブストーリー。

その人は言った。

絵空事だよ。
馬鹿め。

カチ、コチと。
時計の音が、聞こえた。

時計は、止まらなかった。

手を伸ばした。

その手は、何もつかむことができませんでした。

あなたの笑顔は、遠くはるかなもので。

僕の笑顔は、きっと。
もっとはるかな遠くで。

ただ、夢を見ていた。
夢を。
見ようとしていました。

でもそれは。
あまりに難しくて。
あまりにつらいことでした。

ただ、それだけのことが。
予想以上に大変なことでした。

でも、手を伸ばした。

一秒。
二秒。

時間が、カチ、コチと。
過ぎていく。

その手はなにもつかめずに。

僕は、ふと。

笑顔のことを考えました。

伸ばしても。
伸ばしても。

きっとそれは遠くて。

もう、手遅れなのだけれど。

僕は、笑顔を考えずにはいられませんでした。

なあ。
絵空事なのかい。

僕は、手を伸ばそうとした。

カチ、コチ。

鏡の中から。
さっきと変わらない時計の音が。

聞こえた。

なあ。
絵空事なのかい。

鏡の中から。
馬鹿めと、嘲る声が。
聞こえたような気がした。

届かないよ、と。
聞こえたような気がした。

そうだね。

遠くて、つらいそれを。
僕は多分。
つかむことは、できないね。

それだけの勇気もなく。
それだけの度量もなく。

あなたの笑顔を、掬うこともできないのに。

つかむことは、できないよ。

でも、僕はふと。
手を伸ばした。

その手は、何もつかみはしなかった。

ただ。

カチ、コチと。
変わらぬ時計の音が。
鏡の中から聞こえた。

ああ。
また、明日がはじまる。

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