ラルロッザ ショートストーリー

2009年3月 3日 (火)

ラルロッザの学園都市 SS29

ギャグ編 SS29 猫の王

 「あんたたちはもう少しあたしの存在に感謝をするべきだと思うわ」
突然会議中にそう言われ、第十五生徒会のみなさんはきょとんとして、大きな胸をそらしている夏妖精のアルヴァロッタ・アークシーに目をやった。
「どうしたんだ。やっぱり女の子の日はきついんだろ? 無理すんな」
牛角の少年、ゼマルディ・クラウンに投げやりに突っ込まれ、ロッタは
「うるさいわ。中途半端にオブラートに包むんじゃないわよ! 生理とはっきりいいなさい」
と冷たく返してから、全員の顔を見回した。
金髪の吸血鬼、フィルレイン・ラインシュタインは彼氏である怪鳥族のクヌギ・トランスの膝の上で、全ての事柄に自分は関係ないといわんばかりにぐっすり眠っている。
自分の隣で、ずり落ちそうになって同じように眠っている赤と白髪メッシュの女の子――彼女の娘(いろいろありましたがロッタの実の子ではありません)リンフロンを忌々しげに見てから、視線をまた脇にやる。
少し離れた場所で、テーブルに突っ伏すようにして、盲目のホワイトドラゴン、ルイシエンタ・ノートランドが幸せそうに寝息を立てている。
自分用の専用枕クッションを引いているという完璧体制だ。
資料を開いているのはロッタと、その隣で半分居眠りをしては覚醒している彼氏である、ドラゴン族の生徒会長、センシエスタ・ノートランド。そしてゼマルディの三人だけだった。

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2009年2月22日 (日)

ラルロッザの学園都市 SS28

ギャグ編 SS28 家政婦は湯煙の向こうに

 下町での買い物を終え、学園寮に戻ろうとしていた夏妖精の少女、アルヴァロッタ・アークシーは、沈黙しながら眼下の少女と見詰め合っていた。
自分を殺意を込めた目で見上げているその子は、やけに小さい身体に、お尻の辺りからぴょこんと九本の黄色いふさふさした尻尾を伸ばした女の子だった。
薄汚れた家政婦の服(メイド服)を着ている、見るからに平民だ。
本来なら平民が貴族であるロッタを真正面から、明らかに殺意のこもった瞳で見つめることは許されるべきことではないのだが。
ほぼ治外法権状態のこの学園都市では、まぁ時たま見る光景ではあった。
しかしこの場合、ロッタが戸惑っているのは。
身に覚えがありすぎて対応に困っているということだった。
ドラゴン族の国民アイドル的人気を誇っている生徒会長、センシエスタ・ノートランドと付き合っていて、あまつさえ子供を持っている(いろいろありましたがロッタの子ではないです)彼女は、学園内からもいろいろな勢力から恨みを買っている。
だからというわけではないのだが。目の前にちょこんと仁王立ちになっている小さなメイドを押しのけていくべきなのか、それとも声をかけるべきなのかどうか分かりかねていたのだ。

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2009年2月13日 (金)

ラルロッザの学園都市 SS27

ギャグ編 SS27 怪盗馬ヘッド

 厳戒態勢が敷かれているザインフロー魔導学園の入り口で、第十五生徒会員達は、反面うきうきした顔で正面城門を見つめている小さな吸血鬼、フィルレイン・ラインシュタインを見ていた。
当のフィルは、青い顔をしている仲間達とは裏腹に、うきうきを前面に出した顔で、今か今かと城門の向こうを見つめている。
しばらくして、軍隊が城門周りや外に配置された中で、音を立てて跳ね門が開いた。
「アーンガット!!」
大声で執事の名前を呼んで、フィルがちょこちょこと走り出す。
入ってきた馬車から降りてきたのは、体長二メートルは超えるかというほどの巨大な、黒色の毛並みをした犬だった。
彼……動物の姿をした魔獣、ヘロケルンである執事、アーンガットはフィルを見ると、その緋色の目を金色に輝かせて駆け寄ってきた。
「おじょぉさまああぁあ!」
「アーンガット! 会いたかったよ! すごく会いたかったよ!!」

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2009年2月 7日 (土)

ラルロッザの学園都市 SS26

ギャグ編 SS26 セントバレンタイン

 「よし、塔の中に女どもはいないな」
生徒会室の脇にある仮眠所の墨にしゃがんだセドラゴン族の生徒会長、センシエスタ・ノートランドが小さな声で言う。
それにうなずき、隣にしゃがんでいた……それでも座高一メートルは超えている怪鳥族の大男、クヌギ・トランスがひそひそ声で応えた。
「今のところは……大丈夫なはずだ」
「クラウン、そっちはどうだ?」
聞かれ、窓のほうにしゃがんでいた牛角の少年、ゼマルディ・クラウンがそっと顔を窓の外に向け、慌ててまたしゃがみ込んだ。
外の方から一団と大きくなった女の子のもののような歓声が聞こえる。
「だめだ。畜生、完全に包囲されてる……」
「誰だよここに隠れればいいって言ったのは……」
「ノートランド、お前がここに逃げ込んだのが悪いんだぞ。とっとと行って全員分の愛を受け取って来い」
クヌギに言われ、センはブンブンと首を振って答えた。
「殺されるわ! 生徒じゃねえ奴らも混じってんじゃねーか!」

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2009年1月12日 (月)

ラルロッザの学園都市 Q&A

ウィットにとんだ質問を数点いただいてるので、お答えしておきます

★ ラルロッザの学園都市 Q&A 第一回 ★

Q.鳥の人はロリコンが犯罪であることを理解しているのですか?
 → A.してないとおもいますけど、幸せならそれでいいんじゃないでしょうか

Q.やはりアイカ様は洗っていない水槽の臭いがするんでしょうか
 → A.少なくとも陸揚げされた魚類の臭いはすると思います

Q.ゴンザレスが最後どうなったのか気になります
 → A.最終回で、敵異星人ブッシュの放ったダークマターと共に亜空間に消えました

Q.ぶっちゃけSSよりもゴンザレスを書いてください
 → A.正直な話、作者(ぼく)、観てないんでよくわかんないです

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2009年1月 8日 (木)

ラルロッザの学園都市 登場人物

ラルロッザの学園都市 登場人物紹介 本編一部~SS新年編まで 修正版

★しかしこう見ると、ずいぶん複雑な人間関係になってる……書いてる人もまとめてて驚きました

■フィルレイン・ラインシュタイン(本編より登場)
 身長132センチ。体重31キロ。クヌギとつきあっている。
西の大魔王メルヘドス.ラインシュタインと天使族の娘ラルロッザ・ノーエンガーブの娘。
 禁呪七号により精製された人造生命体ホモンクルーズで、吸血鬼と天使のデュアルハーフ。
 彼女の唾、血には解呪解毒滅菌の効果がある。
また、彼女自身も四肢をバラバラにされても復活するほどの再生力を持つ。
好きな人の血を飲むと、一時的にだが成長する。逆に嫌いな人の血を飲むと幼児退行を起こす。
 天才的な知能と計算力を持つが、精神年齢が幼く、会話を成り立たせるのが困難。
 変なもの、キモいもの、グロいもの、父親が好き。

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2009年1月 7日 (水)

ラルロッザの学園都市 SS25

ギャグ編 SS25 ハッピーニューイヤー

 「正月は普通に開催されてよかったな」
怪鳥族の大男、クヌギ・トランスの指先を掴んで歩きながら、小さな金髪の少女――吸血鬼のフィルレイン・ラインシュタインがニコニコ笑顔でうなずいた。
「そうだねえ」
身長差が一メートルほどもあるため、まともに手を繋ぐことができない状況であるがゆえ、やはりとてもカップルには見えない。
学園都市ザインフローの大通りには、新年を迎える飾りが並べられ、そして同時に各地で大道芸や屋台などが見受けられた。
さすがにクリスマスのインフルエンザショックで、活気は例年よりも少ないものの(第二十四話参照)学園の理事会が外から商人を呼び寄せ、急遽ニューイヤーの祭を開催したのだ。
もとよりウィルスの対抗魔導ワクチンはすぐに用意されたので、今では殆どの市民が全快している。
特に子供の回復力は尋常ではなく、元旦の朝早くだというのに、沢山の学生でにぎわっていた。

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2008年12月25日 (木)

ラルロッザの学園都市 SS24

ギャグ編 SS24 クリスマス中止のお知らせ

 「残念ながら今年のクリスマスは中止になった」
生徒会室の長テーブル、その上座で、会長のドラゴン族、センシエスタ・ノートランドが重苦しく口を開いた。
両指を顔の前で組んで、表情が重い。
もっしゃもっしゃとケーキを頬張っていた、小さな金髪の吸血鬼、フィルレイン・ラインシュタインがポカンとして停止する。
その手がプルプルと震えはじめ、やがてボテリと、フォークからケーキの切れ端がテーブル上に落ちた。
「クリスマスが………………中止………………!?」
ひきつった声を上げた彼女を膝に乗せた状態で、その彼氏の大男、怪鳥族のクヌギ・トランスが口を開く。
「突然何を言い出すんだノートランド。やめろ! フィルを怖がらせるな!」
自分の方に震えているフィルを抱き寄せ、大声を上げた彼を冷たく見つめて、センはふぅ……と息を吐いた。
「別に怖がらせているわけじゃない。ザインフローの理事会は、昨日の会議にて、やむをえない事情で今年のクリスマスを中止にすることを決めた。じきに学園中に通達が出る。今日二十四日と、明日二十五日。イヴとクリスマス本体の全ての行事は中止。今日のクリスマス会も、クリスマスセールも、××ホテルの割引時間も、全てが中止だ。テレビのクリスマス徳番も中止。アドバルーンも撤去。聖歌隊とハンドベルの講演会も中止。今日と明日は臨時休校だ。無論学園のクリスマスパーティー関連もすべて中止になった」

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2008年12月22日 (月)

ラルロッザの学園都市 SSS3

ラルロッザの学園都市 ショートショートストーリー

SSS3 運命両断猫ツインブレード

 「フリンスよ。お前がわしの弟子となってから何年が経つ?」
岩が連なり重なった滝つぼのてっぺんに座禅を組んでいるドラゴンの脳天にしがみつきながら、でっぷりと太った魔獣、どう見ても猫にしか見えないにゃんこ先生が聞く。
彼を頭に乗せているドラゴン、センは
「そ……そろそろ一年です。師匠……」
と答え、足をプルプルさせながら、不安定な岩の上で控えめに続けた。
「師匠、そろそろ落ちそうです……」
「うむ。洒落でやってみたが落ちたら、少々これはリアルに危険だな。戻ろう」
「ありがとうございます…………しかし師匠、一歩でも動いたら落ちそうです」
「何? 気張れセンシエスタ。わしが降りるくらいまで踏ん張れ」
「そ、うしたいのは山々なのですが……ししょ、ちょ、うごかな」
いち早く自分だけ助かろうとした猫がぶるんと動いた瞬間。
それに振り子のように振られ、ドラゴンが数百メートルの滝つぼに、足場ごと足を踏み外した。
「あ」
弟子が落ちて行くのと同時に落下しながら、しかし次の瞬間、にゃんこ先生は
「とう!」
と叫んで彼の頭を後ろ足で強く蹴った。太った猫が宙を舞い、くるくると回転してから、スタッと滝つぼに着地する。
落下していく弟子を
「……うわぁ……」
と見下ろしながら、彼はその場に腰を下ろした。
そして懐から葉巻を取り出し、ジッポで火をつけてぷっかぁ……と煙を吐く。
「やっちまった……」

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2008年12月20日 (土)

ラルロッザの学園都市 SS23

ギャグ編ショートストーリー SS23 パパが来る

 必死に膝の上に乗った少女を押し戻そうとしながら、生徒会長のドラゴン、センシエスタ・ノートランドは悲鳴を上げた。
「何をしてる!? てめーら! 良心があるなら俺を助けろ!」
脇には、うつ伏せの溺死体のようになり、その彼女の夏妖精、アルヴァロッタ・アークシーが倒れている。ピクリとも動かず、制服は乱れきり、妙に体中がしっとりしている。
「パパさま!」
にこにこと笑いながら、センの膝に乗った少女、彼の娘(非認知:第十六話参照)である伝説の魔獣、リンフロンが、ぎゅぅぅ~、とその体を抱きしめた。
ボキボキボキボキという音がして、鶏を絞め殺したような悲鳴をドラゴンが上げる。
「やめぎゃぁ! 父は! 父はそれ以上締められると死ぬっふぅ!」
「んっふっふパパさま~」
幸せそうに笑いながらリンフロンがほおずりするたびに、ボキ、ボキ、と何かあばら骨が砕け散っていくような変な音が響く。
抱きついているマンドルゴラの子供は、ここ数週間で五歳程の外見に成長していた。

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