リメイク童話企画

2008年11月22日 (土)

フランケンシュタイン

クウラ完全体 童話を鬱にリメイクしてみましょう企画
その3 「フランケンシュタイン」

※R-16指定です 残虐描写を多分に含みます ご注意ください

 嗚呼。男は思った。嗚呼。何故私はまだ、まだにもここに生きているのだ。
男はもう一度思った。
嗚呼。嗚呼。
ただ、ひたすらにそう思った。
そう思っては歩き、そう思っては止まり、朝日を見上げては慟哭し、月の明かりが更けるのを見ながら手を伸ばし。
それでも男は思った。
嗚呼。
その言葉しかもう出てきはしない。その言葉しか、彼にはもう許されてはいない。
いつしか彼はそれそのものが嘆息になり、いつの間にか、心のうちがドス青く塗りつぶされていくのを感じていた。
それはいかにか当り前のことではあった。
摩擦というその歪んだ倒錯感から心を守るために、彼は嗚呼、と呻きながら、その憤りの当たり所を怒りへと捻じ曲げたのだった。
そうするしかなかったとも言えるし、考え方によっては彼の怒りは至極もっともなことではあった。
――彼は、月明かりに薄暗く、奇妙に照らされた墓地の地面に、土下座をするように無様に這いつくばっていた。

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2008年11月15日 (土)

人魚姫 前編

クウラ完全体 童話を鬱にリメイクしてみましょう企画
その2 「人魚姫 前編」

泡になる。泡になり消える。
そこにあるのは邪念による後悔でも、それとは正反対の充足感でも何でもなく。
ただ、単なる虚無感だった。
自分が消えていく。自分がなくなっていく。
ただそれだけのことが、こんなにつらいとは思わなかった。
ただそれだけのことが、こんなに大切なことだったとは思わなかった。
後悔はない。悲しくもない。苦しくもない。
ただ、つらい。つらくて、つらくて。
そして自分が消えていく。
あぁ、これが虚無感。これがなくなるということ。
そう、私は今、死ぬんだ。
彼女はただ、ふとそう思った。

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2008年9月30日 (火)

マッチ売りの少女

クウラ完全体 童話を鬱にリメイクしてみましょう企画
その1 「マッチ売りの少女」

http://www16.plala.or.jp/LastComets/Despair_01.html (Web特設ページ版はこちら)

 この街では、雪が止まない。
あまりにも薄暗すぎて、人々は朝の七時に鳴る鐘の音で朝を知る。
人々の肌は青白く、限りなく無気力だ。
それはこの街の九割を占める貧困層全体に言えることであり、そして同時に彼らは、残りの一割の生活なんてものを知らないまま死んでいくのが殆どだった。
腕時計なんて高級なものは持っていない。そんなものをつけたまま街角に突っ立っていたら、襲われて手首ごと持っていかれる危険性だって十二分にあるからだ。
もっていたとしてもすぐに引換所で金に換えている。
同じ理由で、寒さを遮ることが可能な上着や毛皮のブーツなどを身につけているはずもなく。
少女はガタガタと震えながら、白くひきつった息を指にかけていた。

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